回復力が求められる時代 |
コロナの時代では、「経済成長の神話は、終わった」といえます。
売上やGDPでの比較は、すでに、あまり意味をなさないとしたら、何をもって、比較すべきでしょうか? 今では、企業の回復力(resilience)の違いや、職場でのしあわせ感(wellbeing)を比較する傾向が一層高まったと言えます。
MIT Slone校の調査によると、2020年4月前半では、経済の安全性(81%)、健康としあわせ感(56%)、家族(25%)、職場の生産性(24%)が上位を占めています。 これが、5月になると、ワーク・ライフ・バランス(60%)、在宅勤務の技術(50%)、双方向コミュニケーション(45%)、生産性とエンゲージメント(25%)、感情的/社会的支援(25%)、身体的しあわせ度(25%)が、上位を占めていて、時と共に、変動する傾向があります。 現在のHRの課題として、つぎの4点があげられます。 ・地域毎、ビジネスユニット毎、チーム内での連携をとるのが難しい。 ・組織横断的、労働者タイプ別、サブコン等との双方向コミュニーケーションが難しい。 ・顧客との迅速な連携プレーが難しい。 ・市場環境の急速な変化に追いつけない。
パンデミック時には、人事の運用モデル(New HR Operating model)を時代の要求に合わせて、進化(evolution)させる必要があります。 そのため、技術に詳しい専門家チーム、HRプロの役割には、下記に示す大変革(Big reset)に応じた対応が求められます。 従来の人事では、効率的(efficient)で、整合性(aligned)が高く、拡張性(scalable)のあるものが良いとされましたが、パンデミックの時代では、迅速(agile)で、適用範囲が広く(adaptive)、変更可能(easy to change)な人事システムが求められています。 それを、回復力を引き出す人事(レジリエント 人事)と呼んでいます。 出典:Introducing Resilient HR : A new way to run your business, Josh Bersin Academy |
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軍隊での体験で何が学べたのか? |
近年、軍隊での指揮系統が、トップダウン型(centralized control)から、分散型(distributed control)に変わったのをご存知ですか? 近年に発生するテロやゲリラ戦に対処するには、伝統的トップダウン型の指揮系統では、限界があります。これに対応するには、分散型の統制により、より柔軟な対応が求められています。 2014発行のResilient Command and Controlの記事によると、米国空軍では、分散型の指揮系統をすでに採用しています。また、英国、国防省が発行する小冊子(Future ofcommand and Control)によると、英国国防省では、2035年までに、分散型の指揮系統に転換する方針が決まっています。 |
US空軍、英国国防省の将来計画での導入が決まった分散型指揮系統の考え方(ResilientCommand and Control)手法は、人材マネジメント分野でも適用が可能になります。 一般的には、つぎの6ステップが必要になります。
現場力を高めるため、組織全体で必要な情報を共有して、役割分担を明確に行い、現場でも緊急対応するための実践的な手段を提供、現場の判断で対処するための権限移譲、必要に応じて、経験豊富なメンターが支援する態勢を整備する必章があります。 |
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同様の危機に陥らないための抜本的な態勢整備を目指していますか? |
パンデミックが始まった当初から、つぎのような議論が、ビジネスリーダー、人事チームの間にありました。
例えば、誰が、どんな影響をうけたのか、いつ職場に戻すのか、新しい仕事の方針は、どうすべきなのか、また、従業員の仕事と、ビジネスの繁栄をめざすには、コミュニケーション、作業プロトコール、トレーニング、福祉活動をどう進めるべきです。 多くの企業では、つぎの4つの変革サイクルを進めてきました。回復力を引き出す人事(ResilientHR)は、抜本的な変革を目指して、業務プロセスやその中身まで、変革を実現することを目指します。 一時的な変更や、急場しのぎではない、恒久的・継続的変革を目指しており、同様の危機・問題が発生しても、動じない態勢の整備であり、従来の改善とか、細切れの変革とは根本的に異なります。 |
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Josh Bersin Academy(JBA)は、Covid-19が、グローバル人財マネジメントにどのような影響を与えたのかを、1349名の参加者の協力に基づき、調査報告しました。 すでに、「Covid-19の影響で、全米の、2500万人が影響を受けたが、9月四半期、GAFAは、23%の成長を果たした」とS&Pは報告しています。「これは、技術的進歩による在宅勤務(work at home)によりなされた巣ごもり消費だ」と報告されています。 数百人のHR幹部、経営幹部に調査によると、技術革新(innovation)、創造性(creativity)、迅速性(agility)を発揮して、Covid-19の影響をうけた顧客に対して、在宅勤務のチームを結成し、より安全な環境で、仕事が出来るように、商品やサービスを再設計したとのことです。
確かに、信頼(trust)、同情(empathy)に焦点を絞り、多様性(Diversity),、給与の平等感(pay equity)、会社への一体感(Inclusion)、しあわせ感(Wellbeing)を感じる職場体験(work experience)の機会を増やし、人中心の戦略(people centric business strategy)を強調する傾向が増しました。 しかし、このレベルでは、パンデミック対応の4段階の中の、第2段階から、第3段階の初期的状況にあると言えます。これでは、まだ、レジリエントHRが達成できたとは言えません。 本来のレジリエントHRは、ステージ4以上の段階に到達する必要があります。 今回の調査結果では、このステージにあるのは、全体の21%に過ぎません。 皆さんの会社では、どのステージにありますか? |
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時代の変遷により人事やHRプロの考え方は、どう変わったのか? |
1950年代は、規則や罰則をつくれば、それに従うものと考えていましたが、1960−80年代になると、縦組織でも、役割を明確にして、それぞれ独自に動けば良いと考えました。
それが、1990年代では、顧客第一の原則に基づき、上から厳しく言って、刺激を与え、その支援をしていれば、それで動くものと考えました。 2019年には、上から、いくら働きかけても、ほめても限界があり、それぞれの好みも手法も違うことが多いので、各自の強みが発揮できる形で、やる気を引き出し、自主的に働く職場風土を育てるようになりました。 現代は、高い目的意識を持ちながら、市民として信頼され、持続的な成長を実現する会社になることを求められる時代です。 すでに、高い生産性、しあわせ感、責任感を目指す優良企業が、いくつか登場しましたが,、この実現には、回復力を引き出す人事(Resilient HR)の導入が大きく貢献していると言えます。 出典: Untangling the HR Tech Market 2021, Josh Bersin Academy |
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一方、人事手法、あるいはHRプロに対して、期待されることは、劇的に変わりました。
1940-80年代では、監督やマネジメント支援の傾向が、強かったものが、2000年代になると、各事業部に対するビジネス支援の傾向が強まり、ビジネスへの貢献度を問われる時代になりました。HRプロは、戦略的ビジネスパートナー(SBP)としての活動が求められるようになり、潜在能力者の強みに力を入れて、支援すべきであり、会社の宝として、タレント・プールすることが、求められるようになったのです。 この時期に急速に普及したのが、戦力計画の重要性や、それを実践するタレント・マネジメントの動きです。この導入により、エンゲージメントも2.0に突入することになります。 2010-2020年代になると、最新版パフォーマンス マネジメントも普及し、グーグルでのPeople analyticsが起爆剤となり、行動データをデータ解析する組織ネットワーク解析(ONA)等を導入するHRテックの普及が進みました。これを導入して、行動データに基き、適切な対策をとっている企業では、エンゲージメント3.0になったと言われます。 ![]() |
コロナ禍による世界的なパンデミックの影響を受けて、回復力を引き出す人事(Resilient HR)がが必要だと言われる時代になりました。
従来の改善中心の人材マネジメント システムから、指数的な発展を目指す組織(Exponential Organization)も、パンデミックの時代だからこそ、実現が可能になります。 多くの先進的IT企業で導入されたOKR手法も、社会の劇的変化に対応するためのパフォーマンス評価手法の一つと言えます。 また、現代では、若者受けする環境(environment)/社会(social)/しあわせ感あふれる職場(wellbeing)の考え方を含めた、持続的社会(sustainable society)を目指す、従業員主導のグローバル ヒューマン マネジメント(別名HR4.0)に進展しています。 皆さんの会社は、何を目指し、それをどう実現しますか? この達成状況により、「会社の業績にも大きく影響を与える時代」になったのです。 |
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