人材マネジメント協会SHRM2012アトランタ大会から垣間見た新しい世界

大型リストラを避けるためにタレントマネジメントが最重要経営課題に!

2012年10月6日開催の戦略的人材マネジメント研究会での発表資料は、
こちらからダウンロードできます。

SHRMは、人事プロを目指す人の世界最大のコミュニティ―
  世界最大(会員約26万人)の人事総務を中心にした人事プロのコミュニティ―である人材マネジメント協会(SHRM)の年次総会が、6月24−27日の4日間アトランタで開催されました。
 今年も昨年同様、約14,000の人事プロフェッショナル(以後人事プロ)が集結、海外からも、韓国(237名)、カナダ(140名)、ナイジェリア(71)、中国(55名)、インド(55名)が参加しました。参加者の一番大きな目的は、人事プロとしての知識と情報、更には、認定を得ることであり、その時々の人事プロとしての課題をどのように対処しているかを情報交換するネットワーキングにあります。参加者の多くが、HR managerやTalent Managerであり、太った女性マネジャーが多く見られます。
 米国訓練開発協会ASTDは、独立したコンサルタント系が、自分の存在感を示す場として利用されてますが、SHRMは、大手企業の人事担当マネジャータレント・マネジャー、更には、人事プロ(HRプロ)を目指す人のネットワーキングの場と言って良いでしょう。
  このSHRM年次総会の一番の見所は、人事プロがどのような方向性を目指しているのかを知り、今後どうすべきかのヒントを得ることができるからです。
 基調講演者が何を言ったのかではなく、各セッションの中から、多くの人事プロがどんな課題をもち、それをどのように克服して行ったかが、貴重な情報になります。
 例えば、最新版のSHRM版がコンピテンシーを発表したその背景は? 
 SHRMが、国際標準化機構ISOと協力して、人材マネジメントガイドラインの標準化に熱心なのは何故なのか?、SHRMは、何らかの社会的な意義を感じて行動しているのか?
 等々の疑問を考えながら、参加すると理解が更に深まります。
 SHRM年次総会に参加することで、「彼らが如何に熱心に人事プロとして目覚めようと頑張っているかを見ること」が何よりの刺激になります。
 先進企業の前達者が出来たと言うことを、更に工夫して、更に高い成果を引き出すことは、日本人の特技です。
 まずは、 欧米の人事プロたちが、どんな方向に進もうとしているのか、その内側をじっくりと探ってみませんか!


大型リストラをどうしたら事前に防げるのかが、最大の経営課題に!
 SHRM2012年次総会のキー・メッセージは、SHRM CEOのHenry JacksonChairのJose Berriosの約20分間のメッセージの中に含まれています。
 (この音声は、こちらから、有料ですが、聴くことが出来ます)
  この二人のメッセージには、共通する所がありますが、過去に発生した多くの課題を、将来どう改善するのかです。近年の最大の課題は、大型リストラを防げなかった企業が続発したと言う事実があります。
 100年に一度の金融危機により、大型リストラが相次ぎ、社会不安が増している状況もあります。これらは、市場の悪戯と取る人もいますが、その原因の多くは、将来の先見力が決定的に不足していたからだとの反省もあります。
 人事プロのための最大のコミュニティーを自認するSHRMの努力が不足していたのだとの反省も当然出て来たのです。
 例えば、GM、クライスラー、そしてコダック、ブロックバスターは、かつては優良企業でした。彼らに先見性があったら、もう少し早めに、将来の変化に対して何らかの対策が打てただろうにとの反省もあります。これを防げなかった最大の原因は、本当の人事プロ(HRプロ)が育たなかったからだと考えました。この反省から、人事プロは、戦略的ビジネスパートナーSBPを目指せの方針になり、これを実行している真の人事プロを高く評価する仕組みをつくろうとしました。
 人事プロは、将来の市場の動向に合わせて、Workforce Planning(戦力計画)を立て、現在の潜在能力者の潜在能力を見極めて、挑戦する機会を作れと言う方針が出てきました。それでも不足する人材は、外部からの人材補強も着実に行います。
 以前は、短期志向であったとの反省もあり、再生後のGMでは、人事プロを強化し、将来の戦力計画をキチンと考える様にしました。
 日本の一部大手エレクトロニクス・IT関連企業では、欧米企業と同様の大型リストラが続いています。かつては、日本の経済をけん引してきたパナソニック、シャープ、ソニー、NEC等々が欧米企業同様との大型リストラを敢行しています。
 これは明らかに、将来への先見性が欠如して判断を誤ったと言われて仕方ない状況です。その原因は、中長期的な戦力計画が欠如していたか、例えあったとしても、大幅に見誤ったからでもあります。日本のエレクトロニクス企業は、唯、韓国、台湾、中国企業との価格競争に苦戦したからだと言う、単純なものでもありません。
 SHRMの言っていることを念頭にいれると、日本企業の人事総務も、人事プロとしての意識も不足しており、今後は、戦略的ビジネスパートナー(SBP)として、行動しなければならないと言っていることになります。人事プロと言う社内のプロモーターが機能しないと、企業風土改革やタレント・マネジメントの導入もスムースに進まない所もみられます。
また、グローバル人財を育てるには、グローバルな人財の異動を積極的に進める下地が必要になりますが、グローバルな人事異動を行っても、優秀な人財を維持し、更にモチベーションを高められるかどうかが、大きな課題になります。これは、Mobility(異動性)の問題として指摘されています。
 これらの将来を見据えた人材マネジメントHRMをキチンと進める総体系がタレント・マネジメントとして、世界的に急速に普及しつつあります。この中でもグローバル規模のものをグローバル・タレント・マジメントとして、特に重視されます。


HRプロは、グローバルビジネスを戦略的に展開するためにSBPになれ!
 今年から、SHRM2012コンファレンス オンデマンドと言うサービスが始まりました。
 SHRM2012コンファレンスの200以上のセッションが、音声付きスライドをWeb上で閲覧が可能になりました。この中には、SHRM CEO/Chairのメッセージ、Malcom Gladwell他の基調講演も見ることが可能です。但し、90日間の期間限定サービスになりますので、はやく聞かないと言う気持ちになります。
 ASTD2012でも同じサービスがありますが、ASTDでは、全体の半分以下の100セッションに限定されており、希望するセッションが含まれているかを事前確認する必要があります。
 このオン・デマンド・サービスで閲覧可能なセッションで、どんなテーマが増えているかを検討すると下記の傾向が見られました。
 一番今回多いのが、タレントマネジメント系で73セッションあります。
 また、SHRM CEOのメッセージでもある如く、SBPになるためのセッションは、40ほどあり、タレント・マネジメント同様に多数見ることが出来ます。
 それについで、ISOによるHR標準化が予定される、パフォーマンスマネジメント系列です。
 更には、アジア、中南米、中東を中心としたグローバルリーダー・グローバル・タレントの系列がこれに続きます。
 その他、ソーシャル・メディアを採用分野、社内のコミュニケーションの改善に活用する事例が続きます。

ビジネス重視のHR3.0の時代、人事マンはどんな視点で評価されるのか!
 2.0から、3.0へのパラダイムシフトは、ソーシャルメディアやラーニングの分野だけではありません。人事/HRプロでも、進行中なのです。
 タレントミクスとの言葉で、従来のHR2.0 から、HR3.0に転換を迫られているとのレポートが話題を呼んでいます。
 昨年ASTD2011Kevin Oakesが、同様の発表をしているのが記憶にあるが、同様のことが言われる様になりました。今回の発表者は、シンガポール在住の米国人で、HR  SUMMIT 2012 シンガポールでも同様の発表を行っており、アジア諸国でも、良く聴く言葉でもあります。


SHRM版コンピテンシーで何が変わるのか?
 SHRM版コンピテンシーは、デモ版が、SHRMのサイトで見る事が出来る様になりましたが、最終版は2013年初めに登場します。
 この中で、注目されるのは、SBPになるために必須なビジネスの先見性を重視しています。
 また、グローバルビジネスを前提にした内容となっており、グローバル・タレント・マネジメント(GTM)を導入する際に、人事プロに求められるコンピテンシー項目が含まれており、従来型のコンピテンシーから更に進化した内容と言えます。
 SHRM版コンピテンシーでは、タレント・マネジメントを導入することを前提と考えており、そのためのコンピテンシー項目も考慮されている点も、特徴の一つと言えます。


ISOでのHRM標準化は、順調に準備が進み、2013年にもお目見え予定!
 米国国家標準化機構ANSI用のドラフトの準備が順調に進んでおり、Cost Per Hire、パフォーマンス・マネジメント、Workforce Planning等原稿が、Public review用として、公表されました。関係者からの意見を取り込み、3回の公表結果を踏まえて、最終原稿をまとめます。その中では、Cost per hireに関しては、既にANSI案はまとまり、9月にメルボルンで開催されるISO HR国際会議でまとめる予定です。
 多くの方は、Cost per hireなどなぜ要求するのか、そんな要求に付き合ってられないと思う方も多くいましょう。
 しかし、その背景を調べてみると、「人事プロをキチンと育てているのか、将来のことをどれだけ考え、準備しているのかを判断する指標だ」と言う考え方があります。表面的な決算情報では将来のことはつかめないので、このような人財情報をキチンと提供して、将来に備えている企業を優良銘柄と考える様になったのです。既に、米国の一部の州では、15名以上のすべての企業に開示の要求をしているケースもあります。早めに準備すれば、あとで慌てることがなくなりましょう。
 当初は、今回のHR標準化により、一体何をしようとしているのだとの気持ちが強かったですが、その内容が公表されるにつれ、その背景や意図も徐々に伝わりつつあります。
 例えば、「標準化など何故必要なのか、こちらには、長い伝統があり、それを変更したくない」とか、「他国のものを押し付けられるのはいやだ」とか、社内での理解が得られないケースもありましたが、その誤解も徐々にとけ、前向きな意見も増え、見直されているのも事実です。
  米国内でのANSI標準化が、2012年に一段落すれば、その多くは2013年初頭には、ISO国際会議にかける予定です。欧州各国との最終の調整作業が残っていますが、これも時間の問題であり、何らかの形で集約されましょう。
 最初の段階では、積極的な国を中心に始めて、徐々に参加国を増やしていくことになりましょう。現在は、正式参加は13か国ですが、アジア諸国が参加を検討し始めており、日本も遅くない段階で正式参加国に参加しないと、折角キチンと最新のHRガイドラインに基づいて運用している優良企業の認定も得られなくなり、従来のISO9000の更新も難しくなりましょう。これは企業にとり、死活問題になりかねません。
 また、SHRM2012のANSI 標準化セッションでは、既存のISO9000で採用されているマネジメント手法も、ISO HR標準化が進めば、新しいマネジメント手法に統一化する方針だとのことです。
 従い、多くのISO9000認証企業を抱える日本でも、ISO9000等の認証を更新する場合には、このHR標準化のガイドラインを採用することになり、早めに新HRガイドラインを導入した方が、よりスムースにグローバル・ビジネスを進めることが出来ましょう。
 


グローバル企業として成功するには、最新のHR潮流に柔軟に対処せよ!
 SHRM2012アトランタ大会に参加しても、有名人が、なにをいったのかとの、表面的なイベントばかり見ていだけでは、その内部で何が起きているのか、中々つかめません。その奥深くで、何が課題なのか、それをどう改善しようとしているのかの事例を沢山みることが重要なのです。
 しかし、SBPの事例をみても、「そんなこと忙しくやってられない」では、変化は起きないでしょう。「欧米企業は、SBP的な仕事をするとキャリアになるし、高い評価が得られだって!」と聞いても、現在のマネジャーが、同じ価値観を持ち合わせていなければ、担当は真剣にやることはないでしょう。つまり、マネジャー人事担当も同じ意識を持たないと実際には動きません。
 SHRMの年次総会への参加者多くは、人事マネジャー(HR manager, 或いはTalent  Manager)です。しかも、女性のマネジャーが大半です。この層の意識改革がまず最初に求められているのです。
 2013年以降は、従来型の人材マネジメント手法は、大きく変わり、新しい人材マネジメントの大きなうねりがやってきます
 例えば、下記にあげた現実を念頭に皆さんは、今後の人材マネジメントで何が起きるかのかを予測しなればなりません。
 特に、グローバル・ビジネスの比率を急拡大する方針の企業では、切実な問題です。
 その状況を把握した上で、「これからのあるべき人事とは?」を次回の戦略的人材マネジメント研究会で考えます。詳細は、こちら
 また、当センターでは、逐次、ISO HR 標準のガイドラインに準拠した5つのワークショップを実施しておりますので、その中でも、その背景と、具体的対策事例を学べます。
 早めに対処して、準備を進めた企業が、本当のグローバル企業として、活躍することが可能になりましょう。 共に、頑張りましょう!

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