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タレント・マネジメントとは? (2013年2月改訂)

タレント・マネジメントとは?

 タレント・マネジメントとは、「人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること。」と世界最大の人材マネジメント協会SHRM(世界最大の28.5万会員のHRMプロフェッショナルのコミュニティ)発行の2006年度版タレント・マネジメント調査報告書の中で定義しています。
 また、米国人材開発協会ASTD(ATD)(会員4万人の人材開発のプロ集団)では、「仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムースに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組みEngagement)、能力開発Capability)、人材補強/支援部隊の強化Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的ホリスティックな取り組みである。」と定義しています。短期/長期的でホリスチックな取り組みとは、将来の目標を実現するため、現在の戦力を組織横断的、グローバルな視野で戦略的に人材開発する取り組みであるとしています。


時代は、タレント・マネジメントを求めています!

 伝統的なヒューマン・リソース・マネジメントHRM)では、経営者、管理者の視点から、仕事・業務中心に、人材育成が進められました。しかし、上長の指示命令で、指導しようとしても、人材育成には限度があり、やりがいのある活性化した職場になるのは、難しい状態がありました。そこで、マネジメントの視点を、従来の経営者的発想から、現場中心、職場の人中心の考え方に転換し、人材から人財に発想を切り替え、人財育成重視のヒューマン・キャピタル(HC)の方針を実現しようとしています。その基本的考え方として、社員のキャリアパスを明確にして、自らのキャリアを中長期的な視点で設定し、その実現を支援する考え方です。人中心の考え方を起点に、更にグローバルで、組織横断的に、人材活用と人材開発を進めようとしているのが、タレント・マネジメントなのです。
 日本では、「一度配属されるとその人財を如何に使おうが、配属先の勝手」との考え方が未だに強いようです。これでは、もてる才能を有効に生かせる場になっているかどうかは、全くの疑問です。これが理由で、人財の流失が、頻発しているケースが多く見られます。
 配属先では、そんなやる気のない人材を採用した人事が悪いと被害者意識をもっている人さえいます。このようなことが二度と起きないためにも、潜在能力を如何に活用し、育てたのかをフォローアップする仕組みづくりがあれば、状況は一変します。
 この潜在能力を生かせる場を、現在の配属先だけにとどまらず、組織横断的な課題として、検討する仕組みでもあります。
 タレント・マネジメントの導入状況をSHRMやASTD(ATD)で成功事例として発表することで、会社全体のイメージアップにつながり、やる気のある人財が、多数応募してくるようになります。この多くの選択肢の中から、適した人財を採用できるようになるのです。
 また、欧米の賢い投資家は、タレント・マネジメントに熱心な企業は、多くのイノベーションを期待出来る企業であり、今後も継続的な発展が期待出来ると判断するようになります。
 尚、世界の人材開発に力を入れる全米人材開発協会ASTD(ATD)及び人材マネジメント協会SHRMでは、タレント・マネジメントを重視する方針を掲げています。
 参考までに、ASTD2010視察報告SHRM2010視察報告ASTD2011視察報告SHRM2011視察報告SHRM2012視察報告SHRM2013視察報告SHRM2014視察報告
 また、ASTD2010/SHRM2010比較分析の報告書、更には、戦略的人材マネジメント研究会での発表資料は、こちらから無料ダンロード可能です。


タレント・マネジメントが求められる背景は?

 欧米企業では、優秀な人材程、自らのキャリア・アップのため、転職するケースが多く、後継者が育たない事がよくみられ、やむを得ず、外部人材を登用すると言う悪循環がありました。
 不況時には、各部門が独自にリストラを進め、社内全体で人材を活用する意識が低い傾向がありました。一旦、リストラの動きが表面化すれば、自己中心的なI型人材が増加し、職場でのモラルの低下が顕著に表れ、新ビジネスに対応出来る人材の育成、将来を見据えた人材開発が、難しくなっていた実情があります。
 また、短期的な視野で、業績や人材を評価する傾向が依然として強いですが、不況時では、この短視眼的な見方が原因で、競争力を急速に落としたGMに似た事例が表面化し、これではまずいとして、グローバルで中長期的な視点で、人材活用や人材開発する必要性が注目されました。人財を活用したくても、個人の過去の学習履歴や成功事例の実績をデータベース化し、今後必要になるスキルを補強しながら、人材開発を進めるタレント・マネジメントが求められるようになったのです。
 更には、インターネットを中心にした市場の急速な変化や多様化に迅速に対応できる適応力のある人財が大幅に不足しており、この実現のため全社レベルで、グローバルな視点で、人財活用と人財開発を進める取り組みでもあります。従来の部門内だけで、判断するのではなく、より広く社内全体、或いは関連会社、更には、海外の組織も含めたグローバルな視点で、人材活用の機会を探そうとする動きでもあります。
 市場の急速な変化に対応し、将来のニーズをキチンと把握し、適応力のある柔軟性のある人財を養成する視点から、人材育成、人材開発の情報を一元管理し、統合的、組織横断的、グローバルな視点から、人材活用の機会を増やし、これを改善する動きが多くの先進国で進み、タレント・マネジメントとして結実していったのです。

新版ASTDタレント・マネジメントの新定義とは?

 従来のASTD版タレント・マネジメントでは、キャリア計画タレント・マネジメントと別の分野として、狭義の定義をしましたが、2009年からは、下記の新定義により、4つのカテゴリー、8つの領域に拡大されました。特に、この中で、エンゲージメントの重要性を強調しており、業績管理(PM)、キャリア計画(CP)、更に後継者計画(SP)との関連性を更に連携プレイで進める仕組みを、広い視野で進めることを目指しています。
 不況時においては、不況のトンネルを出た時の準備を早めにする必要がありますが、その実現には、部門毎にリストラを進めるのではなく、グローバルな視野で適材適所の人財活用、人財開発を進める必要があります。また、セールスの役割も、従来と大幅に変わり、顧客志向、顧客支援を進めるには、多くの部門からの支援態勢が不可欠になり、タレント・マネジメントの発想が一層重要になるとの意見が多く聞かれる様になりました


SHRM版 ACEタレント・マネジメントとは?

 一方、米人材マネジメント協会SHRM年次総会では、2010年以降、タレント・マネジメントを重要テーマに格上げし、沢山のタレント・マネジメントに関する事例発表を聴くことができるようになりました。
 ASTDでは、プロ志向の大企業の導入事例が多く見られますが、SHRMでは、企業内のHRプロを育成する一貫として、社内のHRプロが、戦略的マネジメントタレント・マネジメントの導入事例を積極的に発表することを促してきたこともあり、年々SHRM年次総会での発表数は増加し、現在では、SHRM年次総会での発表数、内容ともに、ASTD年次総会でのタレント・マネジメントの発表件数を上回るまでになりました。
 ASTD版のタレント・マネジメントは、確かに一流企業では、実行可能ですが、その他の中小企業では、手間や負荷が大きすぎるとか、費用がかかりすぎる等の不満がありました。
 その中で、もうすこし簡単に、お手頃の費用で実現できないかと言う希望にこたえて、SAAS方式のクラウド型タレント・マネジメント用ソフトウエアがSHRMの展示ブースでも注目を集めました。その良い事例が、サクセス・ファクター(SuccessFactor)ハロジェン・ソフトウエア(Halogen Software)です。
 更には、見る視点をもう少し限定してはどうかと言うことで、メトラス社が中心になり、ACE方式のタレント・マネジメントの普及に力を入れました。
 これらがSHRMに認められ、「Reinventing the Talent Management」や「ACE Advantage」が発売されるや、中小企業でのタレント・マネジメントの導入も徐々に進みました。
 これでもわかる通り、外部のHRプロの実績発表の場になっているASTDと、社内のHRプロが中心に、自分のキャリアアップのために活用されるSHRMでは、其々参加する目的が異なっていると言えます。
 皆さんは、どちらに興味を感じますか? 
 統合型タレント・マネジメントの本の出版で有名なケビン・オークスも、最近のASTD年次総会では、タレント・マネジメントの発表をしなくなりました。
 その一方で、多くのタレント・マネジメントの導入事例を、SHRM年次総会で多く見ることが出来る様になりました。
 従い、タレント・マネジメントの導入事例を見るならSHRM年次総会や個別テーマを扱うタレント・マネジメント・コンファレンスの方が、情報収集には役立つと言えましょう。


スムースな導入への6つの条件とは?

 本来のタレント・マネジメントを実現するには、少なくとも、次の6つの視点が重要になります。

1.「人財は、配属先の所有物ではなく、会社全体の財産だ!」
 従来、一度配属されたら、どんな仕事に使おうが、配属先の勝手だと、思われがちでしたが、これでは、貴重な人財の流出につながりかねません。

2.過去の個人のキャリア情報のデータが蓄積され、必要に応じて閲覧出来ますか?
 従来、Eラーニングやスキル研修の実績を統合的に管理するラーニング・マネジメント・システム(LMS)が、徐々に普及しつつあります。これは、あくまでもスキルの習得状況(スキル情報)を示すものが殆どですが、実際の業務でこれらのスキルを如何に活用出来、「どんな業績を達成できたのか」、更には「どんな方向を目指しているのか」が、キャリアとなりますが、このキャリア情報は、果たして必要に応じて活用出来る様に、蓄積されていますか? 
 実際の業務では、研修等の参加を示すスキル情報より、実務での経験を意味するキャリア情報が本来重視されるべきです。何も研修に参加しなくても、実務を通して、素晴らしい実績を達成している社員は結構いるからです。これらの情報をデータベース化し、全社的、グローバルで活用する動きが急速に進んでいます。

3.会社の求める人財像の「見える化」と将来への「キャリアパスの体系」が整備されてますか?
 これもタレント・マネジメントを始める重要な要素の一つです。
 日本では、経済産業省管轄の独立行政法人である情報処理推進機構IPAが推進するITスキル標準(ITSS)組み込みスキル標準(ETSS)を活用するケースがも良く見られます。ITSSでは、主にIT関連企業のキャリア評価システムとして利用されています。

4.人財育成の重要性を理解し、そのために人財の才能を最大限発揮できるマネジャー、リーダー、メンターが職場にいますか? 
 人財データベースのソフトを導入しただけでは、すぐに現場で、このシステムが活用される訳ではありません。このタレント・マネジメントを実際の業務で運用するには、職場に育成の重要性を十分理解したマネジャー、リーダー、メンターがいないとタレント・マネジメントを推進することは、難しいと言えます。まず、職場での育成風土を整備することが、第1歩になります。

5.組織横断的な相互支援態勢がとれるかが、鍵になります。
 トップの理解と、現場の理解がどれだけ得られるかが、問われることになりますが、活用次第では、会社の危機を救う救世主になれる可能性があります。

6.タレント・マネジメントを実施する、地域の設定を最初から柔軟に対応してますか?
 余り狭い地域、部署だけで始めても、効果は期待出来ませんが、将来の適用範囲を最初から見据えて始め、グローバル展開する前提で進めることで、将来、柔軟な対応が可能になります。
 当センターの一般公開コース、タレント・マネジメント・セミナーに関する情報は、こちらをご覧下さい。
 具体的な進め方に関しては、当センターに是非、ご相談下さい。
 導入提案、及び概算見積もりは、無料にて相談を承っております。


タレント・マネジメントは、卓越の人材活用、人材開発戦略!

 自発性を高める究極の人材育成手法として、日本でもコーチングが急速に普及しました。コーチングは、成果を上げる、勝負に勝つためには、欠くことのできない重要な気づきの引き出し手法であり、仕事中心、業務中心のプロの世界では、標準的な育成手法になっています。しかし、出来ない人財にこだわるより、出来る人財を選び、入れ替えるのが当然のことと考える合理主義が強く、まだ自信のない社員にとっては、大変冷酷なやり方と受け取られ、場合によっては、上長に対する不満が鬱積する可能性もあります。
 これに対し、各人財の個性を尊重し、ある才能がなくても、他の才能があるのではと考え、将来の可能性を探し、その実現を支援するのが、メンタリングの考え方です。従い、人にやさしい、メンタリングの考え方が、初等・中等教育では適していると考えられ、更には、大学や大学院でも広く世界的に導入され、欧米では急速に普及しました。その中で、未経験の若者、新入社員に対しても、将来の夢を語り、お手本を見せ、達成した時の喜びを伝えることで、挑戦を促し、個人のキャリア支援をするメンタリングは、その基本的な活動になっています。
 米国では、連邦政府や州政府の方針として、メンター募集の全国的なキャンぺーンを実施する「メンタリング月間」が2003年から始まりました。応募したメンターは、地域の青少年の、非行、非暴力、麻薬撲滅のためのボランティア活動に貢献しています。
 ここ15年、欧米企業インドのソフト開発企業で急速に普及が進んでいるのがタレント・マネジメントです。従来、各部署、各サークルが個別に実施しているメンタリング&コーチング活動が行われていて、それなりに実績、効果をあげていますが、そのノウハウや各人のキャリア情報が蓄積されていないのです。従い、人財活用の機会が限定的になり、更なるキャリア・アップを実現するには、外部の転職の機会を探すのが常道になってしまいました。欧米では、優秀な人財程、転職を繰り返しているのが実態です。
 長年、メンタリングをグローバル展開しているIBMは、自らの事例を紹介するメンタリング本を出版しましたが、さらには、その進化型として、タレント・マネジメントをグローバル展開することをSHRMサイトを通して発表、自らのタレント・マネジメントの導入事例をSHRMサイトからダウンロードを可能にしています。
 潜在能力を如何に活用し、育てたのかの情報をデータベース化し、各人材のキャリア情報(成功実績の情報)として蓄積します。これらの情報を共有することで、グローバルな活用に広げ、基本理念が現場で実践されているかを「見える化」する全社的なキャリア評価システムを構築し、職場の風通しを良くし、職場でのタレント開発の意識を高め、業務や事業の継続に役立てようとしています。
 人中心の人財育成の多くのノウハウを集め、人財採用、活用、タレント開発の広い分野にわたり、組織横断的、グローバルな視野で、人財の潜在能力、才能を如何に引き出し、活用する機会をつくり、これを広げるマネジメントとして集大成したのが、タレント・マネジメントです。
これぞ、人材育成の知恵と価値あるノウハウの総決算なのです。

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