人材マネジメント協会SHRM2011年次総会の報告書の中から、一部抜粋しました。
詳細報告書は、JSHRM発行の機関誌 インサイト9月号をご覧ください。
9月17日開催予定の戦略的人材マネジメント研究会で報告します。
アジアでは、欧米並みのHRM化が急速に進展している! |
人材プロの世界的コミュニティSHRM(人材マネジメント協会)は、2010年末現在約25.5万名に達した。米国以外の国際会員は、143か国で7300名。その中でも、インドは2400名を超え、最大だ。SHRM2011年ラスベガス大会への国際参加者は、1000名を超え、韓国230名、カナダ178名、中国63名、インド55名、ナイジェリア40名で、アジアからの参加者が目立つ。 ASTD同様に韓国からの参加者が最大である。インドでは、既に独自のSHRMコンファレンスを開催しており、このためSHRMへの参加者は、その中心となる核となるメンバーがほとんどだ。 |
![]() |
世界の5つの流れが、SHRM2011で注目を集める! |
今年のSHRM2011では、昨年同様に下記にあげた5つのテーマが注目を集めた。
年々戦略的ビジネス・マネジメントやタレントマネジメントのセッション数が増え、最終日の29日に集中して、タレントマネジメントのセッションが行われるので、今後は、同じテーマのセッションを分散する必要がある。 従来の伝統的な定番コースから、戦略的セッションが増えて、多くの女性HRマネジャーも大変そうであったが、それにも増して、精力的にセッションに参加している姿が印象的であった。既にSPHR,GPHR等認定資格を持っているHRプロにとって、その更新には、SHRM大会に参加して、一定以上の単位を修得することが必要になるので、熱心になるのも当然と言えよう。 米国企業でも、日本企業でも、従来のHRマネジャーは、戦略的ビジネスパートナーとは、相当かけ離れた存在であり、この意識改革を強力に進めるためにも、SHRM年次総会は大きな役割を果たしている。 一部の日本企業では、人事部の機能が、各事業部に分散したり、名前が変更されたりして、人事プロとしての意識が急速に低下している所があるが、本来期待されている姿を取り戻し、戦略的ビジネスパートナーやタレントマネジメントと言う名目で、HRプロに意識改革を呼びさまそうとする業界ぐるみの運動は、高く評価されよう。 |
![]() |
ソーシャル・メディアの活用がこれからのHRを変える |
今年から、SHRM会場の殆どで、WIFI網が整備され、アイフォンやアンドロイド携帯等、殆どのスマートホンを使うことで、簡単にセッション案内を見ることが出来、質問の受付をツイッターやWeb上で受け付け、話者が返答する仕組みを導入した。これにより、話者と、参加者との交流が増し、より効率的にインターアクティブなやりとりが可能になる。 個別セッションでも、ソーシャルメディア関連を扱ったセッションが10以上に急増した。 |
![]() |
ISOでのHRM標準化が進んでいます! |
今年、注目すべき点は、SHRMが、ISOでのHRの標準化に乗り出したと言うニュースだ。
標準化と言うと世界でひとつの方式に統一するかのように捉えられがちだが、HRの標準化は、方式やプロセスの標準化だけでなく、目標を明確にして、その達成がどれだけできたのかという、effectiveness(効果性)に重点をおいている。そのプロセスとしてのフィードバックの手法、目標の達成度の必要最低レベルを規定し、HRMのあるべき姿を考え、ある一定レベルをクリアしているかどうかを検証する仕組みでもある。 これは、最優秀事例を表彰するものではなく、HRMのグローバルな仕組みを明確化し、その効果性が上がっているかを検証するものである。その中には、各種の効果測定手法や効果測定指標を明確にして、検証することになる。 その対象分野として、パフォーマンス・マネジメント、ダイバーシティ、更には、組織開発、組織改革、M&A、戦力の準備度、継続性、キャリア開発も含まれる。 今後、グローバル企業として活躍する企業は、地域ごとにばらばらなHR基準とせずに、グローバルな視点で、会社全体として整合性のとれたHR基準を採用することで、開かれたグローバル企業として認知され、人材の機動性を高めることが求められている。 これは、グローバルなタレント・マネジメントの実現につながり、グローバル企業として認められるためには、基本的な取り組みがなされているのかを検証する必要があるからだ。 日本の多くのグローバル企業では、各地域の伝統的なHR手法をそのままにして、会社あるいはグループ全体の整合性がとれてないことから、グローバル企業としての一貫性がとれてない。これが、本来あるべきグローバルなタレント・マネジメントの実現の上で、最大のネックになっている。これを改善するための一歩にもなろう。 尚、本件は、2011年3月にISOから、基本的な合意を得て、現在ANSIの準備委員会で詳細内容の検討会が進められている。 特に、グローバル企業を目指すには、新たなHRM標準のガイドラインが適用され、実践面での効果性が高いことが求められる。従来のプロセス中心のISO(ISO9000/14000他)、或いはガイダンス中心のISO(ISO26000他)とは、性格が全く異なると言える。 |
![]() |
導入は難しいとの声を尻目に、タレント・マネジメントの成功事例が次々と紹介された! |
今年のタレント・マネジメント・セッションは、企業・公共機関による成功事例が増え、展示会場では、多くのベンダーがタレントマネジメントを金貨玉条の如く、唱えていた。
まず、クラウド型の低価格ソフトであるサクセス・ファクター(現SAP社)が、急成長している。これは最初は、小規模で始めて、徐々に拡大できる拡張性、融通性、M&Aにより、関連ソフトを傘下に加え、34か語対応で、グローバル化にも有利な点が特徴だ。今年いくつかのセッションでは、このソフトをベースにしたデモがあり、その使いやすさをアピールしている。 また、次に急成長なのが、Taleo(現オラクル社)で、30か国語対応、4,400社がユーザーと言っているが、日本語対応は現在準備中とのこと。 今年、注目されたのが、Halogenと言う新興勢力である。日系企業の東芝アメリカ、ソニーアメリカの一部門でも採用したとの話だが、日本語対応がこれからであり、導入の遅れる日本側との調整で難航しそうだ。 SHRM2011で一番興味を感じたのが、Metrus社が提案するACE(Alignment,Capabilitis,Engagement)の3要素をベースにしたユニークなタレントマネジメントの手法だ。「エンゲージメントから、ACEに!」がうたい文句でもある。 この考え方は、SHRM推薦図書であるReinventing Talent Managementでも解説され、SHRM版 タレントマネジメントのひな形となっているモデルでもある。ASTD版の9機能を中心にした手法より単純で、タレントマネジメントにおける効果測定/検証がより簡単できるようになる。 これは、日本でも相当評判になりそうなものであり、注目すべき点と言える。 尚、日本人材マネジメント協会JSHRM Insight誌、9月号に掲載しましたSHRM2011報告書、及び戦略的人材マネジメント研究会で報告したSHRM2011資料を、こちらより、ダウンロードできますので、ご覧ください。 |
![]() |
国際メンタリング&コーチングセンター