全米人材開発協会ASTD2009年次総会から見た

「不況時での人材マネジメントのあるべき姿」

全米人材開発協会ASTD2009年次総会の視察報告書の中から、一部抜粋しました。

日本からの参加者は、新型インフルエンザの影響で激減
 全米人材開発協ASTD2009年次総会が、2009年5月31日-6月3日、ワシントンDCで開催された。今年は、昨年の10,000名から約8000名に減少はしたものの、参加国は、増えて79国となった。
 海外からの参加者は、韓国、カナダ、クエート、日本の順位となり、日本は、昨年の2位から、4位に転落した。例年通り、韓国からは、新型インフルエンザにもめげず、本年度も米国以外で最大の参加者を記録した。
 5月連休の日本の海外旅行者は、昨年を上回ったとの報告もありますが、企業の出張制限の影響もあり、日本からの参加者が激減したのが目立った。ASTD会場では、マスクや咳をする人は、全く見られず、例年とほとんど変わらないにぎわいを示していた。


ブルー・オーシャン戦略の成功には、人材開発と新しい価値の創造が鍵!
 今年の基調講演の一番の呼びものは、INSEAD教授のルネ・モボルニュによる「ブルー・オーシャン戦略(新市場創造戦略)」の講演であった。従来は、ニッチ(隙間)戦略の一種と思われていたものが、市場の多様化の進展で、価値ある新規市場が成長している点からも、一層利益の期待出来る、大変賢い戦略と言える。
 この理論の優れた点は、バリュー・イノベーション(価値創造)を伴う戦略であると言う点と、普及するためのキッカケづくりとしてティッピング・ポイント・リーダーシップ手法を活用し、4つのハードルを越える最新ノウハウと組み合わせた点にある。
 ブルー・オーシャン戦略が成功するには、技術志向のエンジニアを沢山そろえても難しいでしょう。多様な市場と正面から向かい合い、顧客の価値観を育てることが重要です。このためには顧客と開発者の両方で、人材開発価値創造が必要になります。これを実現出来た所が、勝者になれる。
 例えば、日本での卑近な事例として、健康志向のビジネスや、環境・エコビジネスでは、この商品やサービスによりもたらされる価値が、どのようなものなにかをお客がイメージ出来るようになってから、初めて動き始めるもので、その転換のための沸騰点・起爆剤(ティッピング・ポイント)としては、中国食品への薬剤の混入事故による不安であったり、メタボ検診、新型インフルエンザ、将来への温暖化の懸念、更には、政府の施策としての省エネ減税エコポイントであったりする
 これらは、良い商品を作れば売れるもの、販売網が強ければ売れるもの、広告販促活動をうまくやれば売れるものと言う旧来の概念とは全く違う起爆剤により、動いているのが実体である。また、各組織内での固有の意識や組織のハードルも存在しますので、そのハードルを下げる努力やその支援も併せて行わないとブルー・オーシャン戦略の効果は、表れてこない。

10の調査報告書が年次総会前後に続々と登場
 今年は、6月上旬の年次総会前後に、不況時での学習、エンゲージメント、タレント・マネジメント、インフォーマル学習、セールス・トレーニング等々、10以上の調査報告書が発表された。 その概要版は、ホーム・ページで、閲覧出来ます。調査報告の一冊の単価は定価$995となっているものもあるが、年次総会では、5冊まとめて、$200−300程度の特価で販売しているので、これを利用すると良い。この中で、お薦めは、エンゲージメント、タレント・マネジメント、不況時での学習、セールス・トレーニングで、その内容がこの中にも反映されている。

不況時に良く使われる対策とその余波
 現在、世界的な同時不況の真最中であるが、その中で、効果的、効率的なものに集中投資が進められ、部門毎のリストラが進み、教育費や、研修費用は削減され、研修機会も減少した。このため、職場のモラルは、低下傾向にあり、これを補う形で、見直されているのが、インフォーマル学習、ピア・メンタリング/コーチングである。事実、多くのインフォーマル学習やピア・メンタリングは、数十年の昔から行われて来たが、最新のWeb2.0の登場により、その形態も多様化が進んでいる。
 かといって、これらの対策が順調かと言うと、社内講師で内製化された研修では、慣れない講師が行うこともあり、研修内容の質や研修効果の低下が顕著になり、一部の研修では、当初予想の人数が集まらない状態も出てきている。また、米国の若い人の多くには、社会の一員として、活躍するための訓練が充分でない状況で、職場に配属されるケースが多くなり、世代の断絶が以前より顕著になり、多様な考え方の人とのコミュニケーションが難しい状況が米国でも表れているとの報告書が何と4団体の連名で発表されている。
 これらの状況は、世界共通のようで、この改善のために職場に配属される前になんらかの導入研修を実施している企業もあるし、そこまで出来ない中小企業も多く、今後の大学教育の大きな課題となっている。いくらEラーニングやWeb2.0を広く導入しても、世代間のギャップの改善や、独創性の高い人材開発には、全く役だっていないと言うの実情である。
 不況時に一番重要な点は、不況のトンネルから抜け出た時には、世の中の状況が全く変化していることであり、その状況に対処すべく、より革新的な取り組みに全社一丸となって、あたることであり、従来、外部にアウトソーシングしていたものを内製化したり、目先の経費削減だけに気をとられていても、将来への準備が全くなされていなければ、例え不況のトンネルから抜け出てても、過去とは全く違う市場環境に対応出来てないため、苦境から抜け出すことは難しい。

ピンチこそ、人材マネジメントの仕組みを再構築する絶好のチャンスだ!
 今回のASTD2009年次総会で発表された各種の新しい人材マネジメント手法は、必ずしも、不況対策だけとして、準備されたものではない。しかし、不況時だからこそ注目され、今すぐ行動を起こすことで、大きな抵抗もなく、スムースに導入することが可能になるのである。
 例えば、好景気の時は、売上至上主義が当然の様にまかり通ることになるが、不況時には、将来への先行投資をどう評価するのか、挑戦的な取り組みへの積極的な評価をどう認めるのかの議論が必要になり、挑戦的な試みや、創造的な試みへのプロセス評価、コンピテンシー評価を強化することが求められる。
 従来は、単純なコミュニケーションの改善、プレゼン技術、説得力、クリティカル・シンキング等の単発スキル重視の研修が多かったが、このような単純なスキルでは、一層複雑化する状況で、役立たないことが多く、実践的で職場で良くある事例をベースに、相手志向、お客様志向で、総合的スキルを駆使して、最適なソリューションをチームで見出し、試しにロールプレイを行い、各役割の果たす効果性を検証するタイプの研修がその主流になる。
 また、ピア・メンタリング/コーチングを活用して、インフォーマル学習の生まれる職場環境をつくり出し、社員の危機意識を引き出し、どのような対策が適切なのかを、多くのメンバーで話し合う機会をつくることも重要になる。
 更には、ティッピング・ポイント・リーダーシップの考え方を応用して、4つのハードルを乗り越える手法を考えたり、連携プレイを高めて、グローバルな視点で考える仕組みづくりが出来るタレント・マネジメントの仕組みを構築することが求められる。
 従来は、各部門が独立して、干渉することなく、部分最適の志向で進める傾向があったが、今後は、全社一丸となり、全体最適の発想で、皆で協力して進める心構えで、意識改革を強力に進める必要がある。
 不況時こそ、人材マネジメントの仕組みを再構築する絶好のチャンスなのである。

不況時における人材マネジメントのあるべき姿!
 欧米の先進企業が推進する「不況時における人材マネジメントのあるべき姿」と現在日本の多
くの企業で進められている不況対策とは、大きく異なっていることがある。その状況を比較対象表
として示したのが下記である。

 日本独自の人材マネジメント手法と欧米先進企業の進める手法の違いが今後も続き、現在の課題
が一向に改善しないとするならば、近い将来、企業競争力の違いとして、更には、国家間の競争力
の違いとして、問題が表面化することになろう。例え、内需拡大が最大の不況対策とある政党が主
張しても、内需拡大は、そう簡単に実現するものではない。むしろ、成長する開発途上国でのビジ
ネス・チャンスを逃すことになりかねない。

 それより、グローバルな視点で、タレント・マネジメント等の優れた人材活用・開発手法を、
積極的に活用し、将来志向の組織横断的な人財活用と人財開発を進め、
相乗効果を高めることで
真の競争力強化が実現出来よう。
不況の時程、各社の人材マネジメントの真価が問われてい

 これらの課題を改善するためには、現場リーダー、マネジャーの意識改革、更には、タレント・
マネジメント
の導入が不可欠になる。


また、意識改革プロジェクトタレント・マネジメントの導入を支援サービスや導入研修の実
施は、こちらをご覧ください。

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